ヘルミーナ・ティールロヴァーHermína Týrlová

終生子どものためのアニメを創り続けた
世界最高の女性アニメ作家

1900年ブジェゾヴェー・ホリ生まれ。
1993年ズリーンで逝去。
プラハのウラニア劇場でバレエ・歌等の経験を積み、夫カレル・ドダルのテレビコマーシャル制作の仕事を手伝う形で映画に関わり始め、試行錯誤の中、二人で人形アニメーション制作に取り組みました。これがチェコ初の人形アニメとなったのです。しかしナチスドイツの侵攻前、ティールロヴァーは一時期アニメーションから離れます。 1941年からはズリーンのAFITスタジオに呼ばれ、プラハから拠点を移して制作を続けました。子ども時代の思い出を映画に重ね劇場時代に学んだバレエの動きもアニメーションに取り入れながら、あくまでも子どもを観客の対象としたアニメーションを撮り続けました。

彼女が作った作品は、手芸の素材やガラス玉など、小さい女の子が、憧れるようなものを素材として多く扱っています。こどもの頃、おもちゃで夢中になって遊んでいた時の想像力の世界がティールロヴァーの作品の中にあります。まだアニメの制作方法が確立されていなかったこの時代、彼女の取り組みは、全て試行錯誤でした。この姿勢は、後のチェコアニメの作家に大きく影響を与え、“チャレンジこそがチェコアニメ”という精神の基盤となっています。
70歳を越えてからも、20本以上のアニメを作ったティールロヴァーのまなざしは、いつまでも、こどもが描く“おとぎ話”のような世界を見つめていたことでしょう。

©Krátký Film Praha,a.s., Animation People, s.r.o.