イジー・バルタJiří Barta

~チェコアニメ65年の歴史の
唯一無二の後継者~

1948年11月26日プラハ生まれ。プラハ工芸芸術大学を卒業後、アニメーション映画の制作を開始します。
1978年、イジー・トルンカ・スタジオのアニメーション作家兼監督となり、1993年、プラハ工芸芸術大学・映画テレビグラフィック科の学科長に就任しました。
独特の技術を使い実写を取り入れた三次元アニメーションを手掛け、「手袋の失われた世界」(82年)では、チャップリンやドイツ表現主義「アンダルシアの犬」、「未知との遭遇」などの名作映画の歴史を手袋たちが主人公となって繰り広げるパロディ映画史を作り上げ、注目され、また、ドイツ民謡「ハーメルンの笛吹き男」を5年の歳月をかけて新解釈した長編「笛吹き男」(85年)では、海外で10以上の賞を受賞。

叙情的チャレンジャー

ここまでバルタの作った9本の作品のうち7本が、合計35個の賞を獲得しています。彼は全ての美術的、映画的な手段を最大限の幅で利用しようとしています。
彼のアニメーション制作は常に“チャレンジ”です。彼は言います。「同じ手法でアニメーションを作るのであれば、アニメーション制作には一切、関心が持てません。
常に新しい表現方法を考え、その作品を最大限に生かす斬新なアイデアを取り込んで創るのがアニメーション制作の醍醐味です。」その言葉通り、彼の映像は、常に見たこともない映像技術に満ち溢れ、見る者をいつも驚かせます。“バルタが新作をつくる”と言うだけで世界が注目します。それくらい彼のアイディアは常に世界の最先端を走っています。でも忘れてはいけません。
チェコアニメ伝統の“叙情的である”ということは、彼の作品に首尾一貫しています。アニメーション界に新しい価値をもたらし、こんにちアニメーション映画の進化の持つ様々な層の頂点を示しています。さらに24年ぶりの長編アニメ映画「屋根裏のポムネンカ」では、屋根裏に捨てられた人形やおもちゃたちが、いきいきと可愛らしい世界を繰り広げます。
2009年日本の文化庁メディア芸術祭の優秀賞を受賞。さらに、小泉八雲の怪談を新たなる技術で表現することに挑戦し、2012年、見たこともない映像技術を駆使して「雪女」が完成しました。

©BIO ILLUSION s.r.o., Animation People, s.r.o., Jiří Barta